剱岳 点の記


木村大作監督の『剱岳 点の記』本日見てきました、大変に素晴らしい映画でした「まだまだ日本映画も捨てたもんじゃない!こんな素晴らしい映像を撮るカメラマンと監督がいる」そう思えた映画でした。




そもそも小堺さんと関根さんのラジオに監督がゲストに来たことから木村監督の存在を知ったのがきっかけ、江戸弁まるだしのべらんめえ喋り「なんだこの偉そうなおっさんは?」 なんて最初はそんな印象。 しかしトークが終わるころには「ちょっと言い過ぎた感」をやんわり感じさせたり、綺麗なねーちゃんには弱かったり、なかなかの好印象に変わっていた。



2度目のゲストに来るときには、その軽快な江戸弁トークが心地よくなっていたりした。 今年になってプロモーションも本格化、監督もメディアの露出を始めたが、春頃に劇場で手に取ったパンフレットは剱岳の写真に文字が入っているだけのとてもシンプルなものであったが、期待をせずにはいられないものだった。



そもそも今日劇場に見に行くまでは、「ただ山に登る映画が果たして本当に面白いのか…?」という疑いの気持ちが少なからずあったのは正直なところ(だって僕自身がなそういう映画を見たことがない!)



「名前ばかり有名な監督のわがままで撮ったような、小難しい言葉を並べた、自称映画好きみたいな人だけにわかる難解な映画だったらどうしたものか…、映画なんて楽しくてナンボだろう!」なんて、妄想で自問自答をめぐらす。 しかしそれでも監督自身が語っていた「俺の映画は誰も死なないよ!」という話や「美しさってのは厳しさの中にしかないんだよ」なんて話を聞いたときに、監督の並々ならぬ自信を信じたかった。









2時間45分は、「あっという間」ではない。数字だけ見ると長い、とても。 しかしさすが数年がかりでとった作品、すべてのカットに重みがあって、2時間45分を見終えたときには、まるで山を登ったかのような疲労感と達成感があった。




「このシーン何?意味わからない…」なんて自己満足なカットはひとつもなかった。 どのカットも「明治の男と、美しい山」がまるで名画のようにスクリーンに映し出される。どの場面を切り取っても画になる!





映画自体はとても地味な印象だが、全然難しくない。 それこそ前述したように「ただ山を登る映画」 しかしその山は人に厳しくとても険しい。




CGで大金をかけて演出される「美しさ」 それも映画の技法としてありだと思います。 しかし、映画『剱岳 点の記』では自然の美しさが何の演出なしで見られます。2時間45分に無駄はない。





久々に僕は映画代1800円が安いと感じた映画に出会えた。正直3000円払ってもまだ安いと感じるな(^^







とても地味だけど、美しい!  まさに「厳しさの中にこそ美しさってものは存在するんだ」というテーマをまじまじと感じることができた日であった。  




人が死んで泣ける映画で、日々のあたりまえの生活のありがたさを感じるのもいい。爆発とCGで興奮しっぱなしの映画ももちろんOK!でも、こういう映画もぜひ選択肢の中に入れてほしい。そう思うのでした。



もう一度いいますよ、この映画は誰も死にません。爆発もしません。 出てくる人も無精ひげのオッサンばっかりです。


でもこの映画すげえ!(笑)





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この映画を見終わると山を登りたくなるかというと



答えはNOだ。



「あー絶対に無理」と感じること間違いなし(笑)